COLLECTION NOTE|Vol.2:LOUIS VUITTON 2026年秋冬 メンズコレクション
2026.01.26

タイムレスな暮らしを支えるワードローブ

Text Takeru Yamanaka

服を主役にするのでなく、人の暮らしや美学を表現するというアプローチはこれまでもさまざまなブランドが行なってきた。しかし、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)が手がけるLOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)がそのような提案を行ったことはコレクションシーンにおいては別の意味を持つ。

それは、アイコニックなラグジュアリーから脱し、タイムレスなファッションへのシフトを示しているのだろう。ショーの演出がそれを物語っている。会場の中央にプレハブ住宅「DROP HOUSE」を配置。モデルが室内のワードローブを選んだり、部屋で過ごしたりする。ラグジュアリーを身にまとい街で主張するスタイルでなく、タイムレスなワードローブの世界観を示している。

提案したアイテムは、メンズの普遍アイテムが主だ。メンズアイテムは着用する人物の生活や仕事から生まれたものがほとんどだ。働くための服、戦うための服、そして休日を過ごすための服。それらを象徴するアイテムに、エレガントさや自由さを纏わせたルックが魅力的だ。

コレクションの中心となるのがイージーテーラリング。コンフォートなシルエット、柔らかな素材にクラシックなディテールをあしらったルックは、歩くたびに美しい動きを見せる。周囲に溶け込みそうな淡い無地、英国調のチェックなどに、加え煌めく装飾やリボンのように結ぶディテールなどフェミニン要素を融合させたコートなどが新鮮だ。

レトロなアイテムをレイヤードで魅せた。ショート丈のスウェットパーカーやフライトジャケットを長めのジャケットやトップスの上に重ねたり、タフなアウトドアジャケットやモッズコートをエレガントなルックと合わせるなど、長短、硬軟の対比を遊んだ。また、モノグラムなどのブランドのコードを抑えめな配色で忍ばせるというテクニックも印象的だ。

素材で目を引くのはレザーだ。バターソフトレザー(まるでバターのようになめらかなレザー)やパテントスエードに加え、「LV Silk-Nylon」もデビュー。51%のシルクと49%のリサイクルナイロンでツイル織りされ、遠目にはレザーのように見える新素材だ。撥水性を持ち、シワになりにくい独特の艶と色を備えているという。これらの素材がコレクション全体にリュクスなムードを纏わせている。

トロンプルイユ手法を用いた素材にも注目だ。オーバーダイ(後染め)ビキューナ ナイロンツイルのように見えるシルクのアウター、タオル地のように見えるミンク、スキューバ素材のようなウールなど、一見したら錯覚しそうな素材がLOUIS VUITTONならではの技術を印象づける。

ファレル・ウィリアムスは、未来的な装いを抽象的なものとしてではなく、“本質的で必需品としての服”へと再定義したという。パリ・ファッションウィークを代表とするブランドが、このように謳うことの意味は重いと感じる。