BUYERS' RECOMMEND | あのバイヤーが推す最旬アイテム
ヴィンテージとアルチザンな哲学が際立つ一本
全国のセレクトショップバイヤーの目利きで選び抜かれたアイテムを、そのバイヤーのリアルなコメントと共に紹介する連載企画「バイヤーズ レコメンド」。今回はMaison Margiela(メゾンマルジェラ)で約20年にもわたりキャリアを積んだオーナーの渡邉圭介さんが、満を辞してオープンした自身のセレクトショップ「keg(ケグ)」から、アルチザンなセンスが光る一着が届いた。
Text Takaaki Miyake
French Antique Linen Wide Trousers Over-dyed Black ¥195,800
2025年11月、東京・恵比寿に新たなセレクトショップ「keg」がオープンした。店内にはChez Vidalenc(シェ・ヴィダレンク)やevan kinori(エヴァン キノリ)、Gabriela Coll Garments(ガブリエラ コール ガーメンツ)やKarim Hadjab(カリム ハジャブ)など、確かな審美眼でキュレーションされた唯一無二なラインナップが揃う。その中でもオーナーの渡邉さんが本企画のためにレコメンドしてくれたのがこちら。
「proposition(プロポジション)のこのパンツには、デザイナー本人がアーカイブしていた1920年〜30年代のアンティークリネンの生地を採用。ポケットは大小二つあって、小さい方は1940年代のドイツ軍のミリタリーパンツ、大きい方はUSのヴィンテージデニムがリファレンスになっています。
シルエットもただワイドなだけではなく、前後にパッチワークのような切り替えを入れることで、綺麗に形が出るように設計されていて、ウエストタックや膝のダーツなど、体に沿うアナトミカルな作りも特徴的です。パターンや縫製、染色まで全てデザイナー二人によるハンドワークで、一点一点仕上げられているので、一つとして同じものはなく、それぞれ違う表情を持っています」
ヴィンテージやテーラリングに造詣の深いリチャード・スパンドラー(Richard Spandler)と、イギリス・ロンドンの名門であるCentral Saint Martins(セントラルセントマーチンズ)卒業のオオシマフミカが手がけるproposition。
ドイツ・ベルリンを拠点に活動する同ブランドは、アトリエで一点一点を手作業で制作する、妥協のないモノづくりがコアなファンから支持を得ている。そんなストイックな姿勢が垣間見えるデザイナーと、渡邉さんが直接やりとりを重ねる中で、形になった一本がこのパンツ。
今回はデッドストックリネンを採用しつつも、メティスと呼ばれるコットンとリネンの混紡生地、クレープ、モスリンなど、様々な素材でも展開されているという。「同じアイテムでも素材変えをするだけで、全く別の見え方になる」と渡邉さんが語るように、一度そのユニークさに魅力されると、素材違いもついつい集めたくなりそうだ。
keg
https://www.instagram.com/keg_tokyo/

渡邉圭介
keg オーナー
Maison Margielaでのキャリアは約20年にわたり、旗艦店である恵比寿店では店長として10年以上の経験を積む。素材や背景に重きを置き、独自の審美眼でアイテムを選び抜くセレクトショップ「keg」を、2025年6月にオープン。




